過熱水蒸気

過熱水蒸気とは、100℃以上に加熱した気体状の水(即ち蒸気)のことです。かつて蒸気機関を発明したジェームズ・ワットもこの過熱水蒸気を応用して使用したとされています。その後も火力発電所などタービン(流体がもっているエネルギーを有用な機械的動力に変換する回転式の原動機の総称)を使用しているところでは過熱水蒸気が使用されてきました。近年、過熱水蒸気を使った家庭用調理器が登場して、私たちにもぐっと身近に感じることができるようになりましたが、さらに過熱水蒸気の持つ利点を様々な産業において「非常に有用である」と、見直されるようになってきています。

過熱水蒸気の熱伝導メカニズム

メリット①
伝熱性が極めて高い
伝熱性が極めて高い、というのが過熱水蒸気の最大のメリットです。
熱風などの場合、熱の伝導は、主に「対流伝熱」によって行われます。これに対して、過熱水蒸気の場合は、この「対流伝熱」に加え、「輻射伝熱」及び「凝縮伝熱」の複合効果で伝熱が行われます。さらに、3つ目の「凝縮伝熱」の熱伝達能力が他の2つに比べて極めて高いのです。このため、熱風などに比べ、伝熱性が極めて高く、下表のように(温度にもよりますが)、10倍前後にもなります。

メリット②
高い殺菌効果
この基本特性の応用であり、急速過熱によりウィルスなどを短時間で死滅させることができます。 食品などの場合、過熱時間が長いと食品が変質してしまうことがありますので、短時間で殺菌を終わらせることは重要なポイントです。この点で、過熱水蒸気は大きな力を発揮します。

メリット③
高い乾燥力
“水”を使って乾燥させる、というのは奇異に聞こえますが、約170℃以上では過熱水蒸気の蒸発速度が空気よりも速く、熱風よりも短時間で乾燥できます。

メリット④
低酸素雰囲気
他の3つとは異なる現象ですが、要するに装置の中で過熱水蒸気を発生させると、「H2O」ガスで装置内が満たされ、空気が排除されますので、無酸素あるいは低酸素状態になるということです。従って、高温にはしたいが酸化は防ぎたい、といった用途、例えば調理や燻蒸などに有効です。

過熱水蒸気と熱風過熱のエネルギー比較

温度 過熱水蒸気 熱風加熱(加熱空気) 熱容量比較
150℃ 336 kcal/m3 26 kcal/m3 13倍
230℃ 298 kcal/m3 35 kcal/m3 8倍
300℃ 275 kcal/m3 41 kcal/m3 6.5倍

主な用途

食品加工

低酸素状態で加工するので、油等の酸化やビタミンCの酸化破壊が抑えられます。過熱水蒸気を使うことで、ガスで加熱した場合に比べ、酸化具合は半分程度に抑えることができます。

殺菌

穀物などの食材の表面に付着している菌を短時間(数秒~0コンマ数秒)で殺菌ができ、食材の賞味期限を格段に延ばすことが可能になります。オアシスでは食品微生物検査も行っております。

廃棄物の資源化

動物の骨、貝殻等を過熱水蒸気で処理することにより、純度の高い炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウムを生成でき、産業資材として再利用可能となります。

乾燥

含水率の高い食品や汚泥などの廃棄物の乾燥処理に使用できます。過熱水蒸気は熱伝導率が高いため、熱風乾燥に比べ、短時間で乾燥できます。廃棄物の乾燥は主に減容化に利用されますが、生ごみを乾燥し、家畜の飼料にも利用できます。

食品微生物検査の内容

一般生菌数・大腸菌・大腸菌群の3項目1セットで外部委託にて検査を行っております。昨今、食中毒の発生等の社会的な食品問題が年々増加しており、食品事業者には法律面・社会的な責任からも自主的な衛生管理が求められております。殆どの悪性菌は高温処理することで殺菌が可能で、オアシスの過熱水蒸気技術は非常に高温となった水蒸気をぶつけることで、瞬時に殺菌乾燥を行います。今後食品関連の法案規制が厳しくなりますので、殺菌についてお困りの方は是非一度オアシスにお問合せください。

ロータリー瞬間粉砕

高速回転した2つの嚙み合わさった歯車のわずかな隙間に素材を通過させて、瞬時に粉砕する「ロータリー瞬間粉砕」により、圧倒的なきめ細かいパウダー化も瞬時に行えます。粉砕と同時に乾燥も可能で、素材の繊維質などの損傷を極力抑えた粉砕を可能にしました。 その他、ピンミル・ハンマーミルなど各種取り揃えておりますので、内容に応じてご提案させていただきます。

 

装置のテストサービス

オアシス株式会社では各装置のテストサービスを行っております

まずは当社までご連絡いただき、仕様等の相談・決定の上、下記方法によってテストサービスを行います。「新たな商品を開発したい」「既存の商品に付加価値をつけたい」とお考えのお客様。お気軽にご相談ください。いただいたサンプルは厳格な機密保持管理をいたします。

テストしたい素材を当社実験工場までお送りいただき、弊社でテストいたします。加工結果は約1週間でクール宅急便でお客様宛に返送(着払)させていただきます。

届いたサンプルから商品化までのプロセスをサポート

出来上がったサンプルをお客様にお渡し後、その実験結果やサンプルを基に、商品化のための打合わせをさせていただききます。ご納得がいただけましたら、御見積をご提示させていただきます。サンプルが「商品化」となるまで、オアシスではお客様と共に考え、サポートをさせていただきます。

新商品の開発をサポートとしてお試し価格でご提供いたします

本実験ではお客様が依頼される原料を、2段階に分けてテスト実施させて頂きます。
1回目:小型キルン炉を使用(預かり重量は1~5kg前後)
2回目:大型キルン炉を使用(預かり重量は40kg前後)
小型キルン炉では、お預かりした原料と過熱水蒸気との相性を確認します。
大型キルン炉では、主に1kgあたりの単価や歩留まりを算出します。

過熱水蒸気実験セット内容
過熱水蒸気殺菌乾燥実験

70,000円より

過熱水蒸気実験をセットで注文された方に限り、粉砕実験を無償で実施いたします

オプション
粉砕実験
(預かり重量は10㎏前後)

40,000円

食品微生物検査
(一般生菌数・大腸菌数・大腸菌群)
1検体当たり

10,000円

※価格はすべて税別価格となっております。※セット外での実験をご希望の方は別途お問い合わせください。※原料の性質によってはサンプルができない可能性があります。※原則として送料はお客様負担とさせて頂きますのでご了承ください。※粉砕実験にて10㎏以上をご希望の方は別途お問い合わせください。※食品微生物検査につきましては外部委託とさせて頂いております。※納期⇒過熱実験7日間、粉砕実験7日間、食品微生物検査10日間。